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「乳児ボツリヌス症」について

これまで、ハチミツの効能について書いてきましたが、一点だけ注意していただきたいことがあります。
それは、「1歳未満の乳児には、ハチミツを食べさせないでください」と言うことです。
先日、東京で離乳食として、ハチミツ入りのジュースを飲んだ生後6カ月の赤ちゃんが亡くなると言う事例がありました。
ニュース記事⇒テレビ朝日系4/8(土) 5:55配信
お亡くなりになった赤ちゃんのご冥福を心からお祈りいたします。

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「ハチミツには、ボツリヌス菌がはいっているの?」
「食べたら食中毒になるのでは!」
そのような心配は必要ありません。

乳児ボツリヌス症とは、1歳未満の赤ちゃんがボツリヌス菌の「芽胞(がほう)」と呼ばれる菌の種のようなものを、食品を通して体内に入れることで重症化する感染症です。
芽胞が含まれる食品として、ハチミツや黒砂糖、またこれらを使用した製品があげられます。芽胞が赤ちゃんの腸の中に入ると、発育・増殖して毒素を出すことでボツリヌス症が引き起こされます。
ボツリヌス菌の芽胞は、大人が食べても害はありません。
その理由は、1歳以上になると消化器官が発達し、腸内環境が整うため、大腸の正常細菌叢により増殖できないのです。
しかし、1歳未満の赤ちゃんは消化器官が未熟で、腸内環境も整っていない状態なので、ボツリヌス菌の芽胞でも腸内で発育・増殖を抑え込むことができません。
ボツリヌス菌自体は、大人でも激しい食中毒症状を引き起こす原因菌です。
ただし、食中毒症状は、食品の中で発育し、大量に増殖した菌の体内摂取によって、菌が出すボツリヌス毒素が引き起こす「ボツリヌス食中毒」で、芽胞の摂取が原因で起こる「乳児ボツリヌス症」とは区別して考えられます。

ハチミツ自体、殺菌力が高いことは、前にも述べさせていただきましたが、その殺菌力は「芽胞」には及ばないようです。
感染症発生動向調査週報「乳児ボツリヌス症」で更に詳しい調査内容がご覧いただけます。
国立感染症研究所 感染症発生動向調査週報「乳児ボツリヌス症」へのリンク

赤ちゃんがはちみつを食べても、全ての赤ちゃんが必ず乳児ボツリヌス症を発症するとは限りません。しかし、発症してしまった場合は重篤な状態になることもあります。

乳児ボツリヌス症にかかると、最初に元気がなくなって母乳やミルクを飲む力が弱くなります。菌によって消化器官が働かなくなり、便秘などの症状が現れるのも特徴です。その後、神経麻痺が起こって、体に力が入らなくなり、脱力症状も出てきます。

この神経麻痺が進行すると、呼吸器の神経を麻痺させて無呼吸状態となり、重症化する危険があります。乳児ボツリヌス症を発症した場合は、自然治癒というわけにはいきません。危険な状況を招いてしまうので、症状がみられた場合はすぐに病院を受診しましょう。

厚生労働省によると、日本で市販されているはちみつにボツリヌス菌が含まれる可能性は、最大で6.7%です。
厚生労働省の資料⇒厚生労働省「ボツリヌス菌汚染実態に関わるデータ」

実際にはちみつを食べて乳児ボツリヌス症を発症したという報告もほとんどありません。誤ってはちみつを食べたからといって過度に慌てることはありませんが、絶対に発症しないとはいえないのも事実です。

万が一、赤ちゃんがはちみつを食べてしまった場合は、すぐに症状が出ていない場合でも、発症までの潜伏期間が3~30日と長期にわたるので、3日以上続く便秘など乳児ボツリヌス症の消化器系の症状が現れないかを継続的にチェックする必要があります。少しでも普段と違う様子があれば小児科を受診しましょう。

はちみつは健康に良いものですが、1歳未満の赤ちゃんにはくれぐれも食べさせないように気をつけてください。外食したときや市販の食品には、思いがけずはちみつが原材料として含まれている場合もあります。はちみつ単体だけでなく、はちみつを含んだ食品にも注意が必要です。

以上、長くなりましたが、正しい知識と理解で「ハチミツの力」で健康な生活をお送りください。

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